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2019-11-07ニュース

規制当局が勧めるチーム医療機器開発

  • 近代化医療機器開発の鍵を握るのは、

    学際的コラボレーションです。

     

    ウェアラブル医療機器からモバイルメディカルアプリや遠隔医療テクノロジーまで、ヘルスケア領域におけるデジタル化は急速に進み、革新性が高まっています。デジタルテクノロジーがヘルスケア業界に与えているインパクトは既に極めて大きいのですが、2023年までに、デジタルヘルスの市場は2237憶ドルに達すると言われています。

    特に、デジタル化は医療機器製造に大きな影響を及ぼしています。その影響の多くは、単一製品の開発に係わる貢献者の人数が急増していることに見られます。設計士、人間工学スペシャリスト、エンジニア、ソフトウェア開発者、サイバーセキュリティエキスパート、臨床及びその他の医療従事者等、様々なバックグラウンドを有するエキスパートが、デジタルヘルスケア製品の開発に関与しています。しかし、実際に患者に対してデバイスが使用される現場までには、製品に付随するこの集合的な専門知識が引き継がれていないということが、製品開発に欠けている重要な側面となります。

     

    クロスファンクショナルな専門知識の活用

     

    デジタル化が市販前及び市販後パラダイムを再定義していることは、医療機器業界では基地の事実となっています。例えば、テクノロジーに詳しい患者は、最高レベルの診断や治療を強く望むことや、当然のこととして期待することがあります。本質的に、モバイルデバイスは、患者に対する医療チームにおいて欠かせないものとなっています。同時に、革新的医療機器が有益となる患者でも、新興テクノロジーへの理解や適性を持たない方もいます。しかし、どの社会層であれ、患者にとっての基本的な情報源、デバイスの使用を支持するのは、患者の担当医師となります。

    実際には、殆どの医師は、使用許諾契約(EULA)を読み込む時間や専門知識を持ち合わせていませんので、施設のネットワークにつながるすべてのデバイスの機能にまつわるテクノロジーや背景を理解している医師もごくわずかです。同時に、エンジニアやデバイス開発者は臨床現場で時間を費やすことが殆どありませんので、患者がどのようにデジタルデバイスを使用するのか等、デバイスが使用される環境を理解していないこともあります。

    常に、医療機器のイノベーションにおける最優先事項は、患者のケアの充実を図る事です。テクノロジーは、それの実現に有用である一方で、医師が患者に対し使用する製品の複雑化を招いてしまっているのです。イノベーションの真価を発揮させるためには、デバイステクノロジー、ネットワークテクノロジー、科学的データ及び安全データ、サイバーセキュリティやデータ管理や伝送プロトコルに堪能なスタッフを確保するなど、労働力を増強することがどの医療機関にとっても重要となります。これら全ての専門知識を一堂に会することは、大きな人事的及び予算的な負担が生じるのです。

     

    メディカルプロダクトのライフサイクルへの近代化アプローチ

     

    前述の専門家を集める代わりに、規制当局やその他の関連組織部隊を呼び寄せることで、ヘルスケアイノベーションを促す、よりロジスティックで実現可能なアプローチとなる場合があります。この試みの土台となるものは、学際的コラボレーション(inderdisciplinary collaboration)です。Digital Medicine Society(DiMe)Digital Therapeutics Alliance(DTA)のようなプロフェッショナル集団は、このコラボレーションを促す目的で結成されたものです。これらの公益団体は、臨床医と患者の双方が革新的な製品や治療のベネフィットを十分に享受できるよう、デジタルヘルストレンドの開拓を支援しています。

    同じ様な観点から、米国食品医薬品局(FDA)は先般、#WeHeartHackersと呼ばれる新しいイニシアチブを導入しました。このプログラムは、医療機器製造業者とサイバーセキュリティのエキスパートを招き、より安全且つセキュアな医療機器の開発におけるコラボレーションを目指すものです。

    医療機器・放射線保健センター(CDRH, Center for Devices and Radiological Health)もまた、コンソーシアムを中心とする医療機器開発を牽引してきました。当局は、Total Product Life Cycle(TPLC)イニシアチブを開始し、ライフサイクル全体を通じて、医療機器業界及び医療機器の見える化を図ります。

    「当局内、とりわけCDRH内で行っていることのひとつとしては、どの様に連携を図るかに着目することです。センターのオフィス間でどうしたらより良い連携を図れるかだけではなく、市販前及び市販後のスペシャリストをどう同じチームに融合するかについても話し合っています。」と、Robin Newman(FDA CDRH内のOffice of ComplianceのDirector)は述べています。

     

    TPLCの近代化がデバイスメーカーにとって意味するもの

     

    ヘルスケアの近代化への取り組み、特に革新的な医療機器の開発では、最初から最後まで製品の開発にall-hands(全体)アプローチが必要であることを強調します。デジタルヘルスケアイノベーションの多様性、寛容さ及びポテンシャルを鑑みて、高品質、安全性、継続的改善及び患者ケアの促進にフォーカスし、基本原則及び業界ベストプラクティスを確立することが重要です、これは、長く規制当局及びその他の関連機関の優先事項となってきました。

    ヘルスケア用品のデジタル化に伴う警告のひとつは、サイバーセキュリティです。インターネットテクノロジーに依存するデバイスや医療プロセスがますます開発されています。幸いにも、サイバーセキュリティの懸念は、デジタル化へ移行する上での支障にはなっていません。しかしながら規制当局及びその他の関連機関は、全ての業界利害関係者が一丸となってサイバー犯罪の防止に取り組むことを奨励しています。Information Sharing and Analysis Organization(ISAO)は、この取り組みの促進を目的に立ち上げられたものです。

    ISAOの目的は、コミュニティが自主的にサイバー脅威に関する情報を相互共有することを促すことです。多くの医療機器では、類似する機能テクノロジーや同じ「Premade(プリメイド)」ソフトウェアコードさえ使用されている場合があります。ISAOは、一般的な脆弱性の特定や軽減緩和に役立ちます。ISAOの主な目的は、情報共有ネットワークの深化と拡大、そして組織内相互作用のオートメーションメカニズムの開発と採用ー最終的には国のセキュリティ状況の評価までを促すことです。

    FDAは、引き続きサイバーセキュリティ及び患者の安全性とデータ保護を確実にすることにフォーカスしています。サイバーセキュリティに関する市販後ガイダンスの主要原則の中には、製品開発に向けて、共同アプローチ(collaborative approach)に直接活かせるものがあります。

    • 医療施設、患者、医療提供者と医療機器製造者を含む利害関係者間の責任の共有
    • 医療機器の設計・開発におけるサーバーセキュリティ対策
    • デバイス向けサイバーセキュリティ関連でデザインインプットの確立
    • 21CFR 820.30(g)で要求される、ソフトウェアバリデーション及びリスク分析の一部としてのサイバーセキュリティ脆弱性及びマネジメントアプローチの確立

     

    業界賛同の奨励

     

    デジタル化は勢いを増しつつあります。ヘルスケア領域全体の業界リーダーやエキスパートは、ライフサイエンスのあらゆるニッチな組織にまでも参加を募り、成功のために貢献するよう求めています。医療機器開発及び患者の安全性に関する概念について、Dr. John Cherf(Lumere の Chief Medical Officer)は、医療機器業界のすべての領域で、コラボレーションと透明度を主唱しています。「私がデバイスメーカーに言いたいことは、単に透明性とコラボレーションを心に抱き続けるということです。メーカーと医療提供者間では、オープンな会話が必要です。適切な情報を伴ってこそ、先入観を排除した、健全な考察に従事することが可能となり、患者のために協力して最適なソリューションを提供することができるのです。」と、彼は述べています。

     

     

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