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2022-05-11コラム

医薬品業界のコンプライアンスに関する5つの間違い

  • 医薬品業界では、厳格な規制と品質要件を満たすことが求められます。ここでは、コンプライアンスの取り組みを妨げ、インスペクションにおいて重大な指摘につながりかねない5つの間違いを避けるためのヒントと、製薬会社が安全で効果的な製品を迅速に市場に届けるために役立つデジタル化の方法を紹介します。

    間違いその1:品質管理部門がない
    製薬会社に品質部門(QU)があるかどうかは、問題の一部に過ぎません。QUのエンパワーメントこそが重要な問題です。もしQUに権限がなく、経営陣が品質に関する決定を覆して製品を拒否することができるなら、その会社にQUが存在しないのと同じことになります。QUはビジネスニーズと品質ニーズのバランスをとることができ、そのバランスは公衆衛生、顧客ニーズ、企業信用へのリスクを秤にかけるものになります。このような厳しい判断を行う場合、QUはその根拠を示すために文書化を行う必要があります。

    デジタル化した品質管理システム(QMS)によって、QUの役割を自動化することは出来なくとも、デジタルソリューションに組み込まれた権限により、QUの権限のある個人のみがバッチリリースを承認でき、すべての電子文書を中央ロケーションに保存することが可能になります。

    間違いその2:不十分な文書作成方法
    QUが "Documentation Police (文書のクオリティを厳格に保つために監視・評価等を能動的に行っているような人達) "で構成されていることに不満を持つ人もいるかもしれません。文書が最初から適切に作成されるようにするためには、医薬品の品質記録を扱うすべての従業員に対して、一貫した優れた文書作成方法とデータインテグリティに関するトレーニングを実施することが極めて重要です。

    製薬会社の品質管理担当者の皆様であれば、ALCOA(帰属性、判読性、同時性、原本性、正確性)の意味をご存じでしょう。製薬会社のデジタルQMSは、この各ステップを適切に文書化するために必要なアクションを強制的に実行することができます。さらに、デジタル化したシステムに搭載された、「レビューバイエクセプション」のワークフローを活用することで、ドキュメンテーション能力の向上を促し、その結果、スピーディーで良質なバッチドキュメントの作成を可能にします。

    間違いその3:脆弱な調査
    失敗したときは、隠さず明らかにする。調査は、製薬会社がデータインテグリティを最優先課題としていることを示すうえでの取組みであり、活動です。製薬会社がデータインテグリティにこだわるあまり、データインテグリティが損なわれることがありますが、これは無数の学習機会の損失を意味するため、特に残念なことです。不適合を罰する企業は、間違いを表に出して修正するのではなく、隠蔽を促す状況を生み出します。組織がインテグリティをコミットすることで、製品やプロセスの不具合や不適合は、パフォーマンスを改善する機会として扱われ、その結果、医薬品の品質基準が向上し、消費者により良い結果をもたらすことに繋がります。

    根本原因に対処できないような調査は効果がなく、何度も同じ問題が繰り返されることになります(参照:冗長性)。品質管理ソフトウェアでは、電子フォームに必要な項目を入力することで、正確な情報を網羅的に調査できるような調査書を作成しています。


    間違いその4:定期的なレビューの不履行
    製品レビューは毎年行わなければなりませんが、定期的なバリデーションとプロセスの継続的な検証も同様に重要です。システムを検証し、コントロールされていることを把握することは大切なことですが、バリデーションを行い、コントロールされているプロセスに間違いがないことを確認することがより重要です。定期的に医師の診察を受け、問題がないことを確認することが重要であるのと同様に、QMSも定期的にレビューすることが重要なことです。

    プロセスの不備は、時に危険な医薬品を生み出すことがあります。品質管理ソフトウェアは、システム内のカレンダーに必要な活動を入力することで、定期的にメンションし、二度と期日を見逃すようなことは起きないでしょう。コンピュータ化されたシステムにはバリデーションが必要なため、皆さんが採用しているデジタルソリューションにも定期的なレビューが求められます。

    間違いその5:医薬品サプライチェーンの問題
    医薬品サプライチェーン・セキュリティ法(DSCSA)は間もなく最終段階に入りますが、製品の安全性を確保するために必要なことは、証跡を記録する以外にも数多くあります。サプライチェーンはサプライヤーからエンドユーザーまで続いているため、原材料や取引先が安全で効果的な製品を提供するための要件を満たしていることは、品質とコンプライアンスの取り組みにとって非常に重要です。

    製造委託先は製品の品質において重要な役割を果たすため、特別な監視が必要です。川下に位置するサプライチェーン・パートナーは適切に登録されている必要がありますが、特に医療用医薬品の場合、これらのパートナーが製品に対するインパクトアセスメントを受けていることを確認することも重要です。デジタルでアクセスでき、更新可能なサプライヤー文書とバーコードラベルの追跡を適切に行うために、デジタルQMSを使用します。検索しやすいリポジトリにあるサプライヤー・ファイルは、企業が将来のプロジェクトで使用するために、最も評価の高いビジネス・パートナーを見つけることに役立ちます。

     

    著者のご紹介
    Regina Fullin

    Regina Fullinは、Compliance Team, LLCの規制関連業務および品質保証コンサルティング担当副社長です。規制コンプライアンスに関するコンサルティングとプロジェクト管理の経験を持ち、規制コンプライアンス、工程管理、製品品質を達成するための強固な品質システムの開発と導入について、顧客に助言と支援を提供しています。ASQ の認定品質エンジニア(CQE)、認定品質監査人(CQA)、および認定品質組織エクセレンスマネージャー(CMQ-OE)の資格を持っております。

     

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