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2021-09-17コラム

医療機器メーカーに対する483及びWarning Letterの主な理由

  • 医療機器の製造に関わる方であれば、コンプライアンスとはシンプルな課題かと思いますが、膨大で複雑なプロセスや要素に悩まされていることもよく知っています。発生した様々な課題は、当局の査察官の目に触れることとなり、結果として、Form 483やWarning Letterに繋がります。

    FDA(米国食品医薬品局)が発行するForm 483の指摘やWarning Letterは厄介なものであり、その内容は、査察時に発見された課題が所見として記載され、その内容に対する対応の完了期日、内容に対する指示に従わなかった場合の潜在的な影響などが記載されています。

    法規制違反の事例を理解することは、無駄な作業や金銭的損失に繋がる遅延の防止に繋がり、その内容を特定する事で、課題を軽減することができます。その為、弊社では、Industry Brief「医療機器業界におけるForm 483及びWarning Letterの主な理由」を発行しました。

    2017年から2019年を対象としたデータによると、Form 483またはWarning Letterに繋がっているFDAの所見多くは、次の業務プロセスに関係しています。

    • 是正措置・予防措置(CAPA)
    • 苦情管理
    • 購買管理(サプライヤー管理)
    • MDR(Medical Device Reporting):有害事象報告
    • プロセスバリデーション
       

    CAPA

    CAPAに対するガイドラインは、QSR(Quality System Regulation)と呼ばれる品質システムに対する規制に規定されています。この規制に対応するには、苦情への対応や、製造時における課題の特定や対応、軽減を行う為の手順を策定し、文書化する必要があります。作成した文書は、完全性や正確性、詳細を網羅し、全ての従業員が順守し、査察官も容易にアクセスできる必要があります。

    CAPAに対する主な所見は次の通りです。

    • CAPAを開始する上で従業員に指示する為のSOP(手順書)がない
    • 問題が発覚したがCAPAを実施していない
    • CAPAを実施しないことを正当化する文書がない
       

    苦情管理

    21 CFR Part 820.198 (a)には、発生した苦情の対応に関する要件が詳細に記載されています。企業は、記録の保管以外にも、書面及び口頭による苦情の受付から調査等に関する手順も順守する必要があります。

    • 苦情対応にかかる時間
    • 口頭での苦情対応のプロセス(文書化や保管期間)
    • 苦情内容をFDAに報告する基準及びプロセス


    苦情管理に関する指摘で多いのは、その管理プロセスに対するSOPの不備です。


    サプライヤー管理

    サプライヤーチェーンは、さらに大規模で複雑になってきており、高い品質を維持することの複雑性が増してきています。21 CFR Part 820.50が購買管理を対象としており、企業は、サプライヤーから購入する全ての製品が要求事項に適合していることを確認する必要があります。また、サプライヤーから是正措置(SCAR)の要求があった場合、不適合状況を是正されていることを確認する必要があります。

    サプライヤー管理に対する主な所見は次の通りです。

    • サプライヤーの管理レベルが明確に定義されていない
    • サプライヤーに対する評価が文書化されていない
    • サプライヤーの自己評価に頼りすぎている


    MDR(有害事象報告)

    21 CFR Part 830.17によると、医療機器の製造業者や利用施設、輸入業社は、MDRの運用プロセスを期待した手順を作成し、管理及び記載内容を順守する必要があります。しかし、発生した内容がFDAに報告すべきかどうかを判断することは容易ではありません。その為、その運用プロセスや基準に対する共通認識を社内全体で共有する為、ポリシーを作成し、文書化することが推奨されています。MDRに対する指摘で、ありがちな課題は、発生した内容を特定し、FDAに報告する運用を規定した文書が最新または完全ではないという点です。


    プロセスバリデーション

    21 CFR Part 820.75 (a)には、規制対象となる製品の開発時に求められるプロセスバリデーションに関するガイドラインが詳細に記載されており、安定して高品質な製品を製造する為、そのプロセスをバリデーションする必要があります。プロセスバリデーションは、製品のライフサイクルの各段階にてデータを収集し、評価を行います。そして、その全てを完全な形で記録し、文書化を行う必要があり、また、記録の照会を求められた際には提示できる状態で管理する必要もあります。

    プロセスバリデーションに対する指摘で多いのは、製造プロセスに対するバリデーション及び再バリデーションの頻度を示す為に十分な文書が存在していない点です。

    本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。


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