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2021-09-08コラム
適切な文書管理手法として当局も自動化を推奨
医療機器メーカーにとって、文書管理の効率性や正確性は、最優先事項と位置付けられています。各国の当局も、この点を認識しており、企業がQMS(品質マネジメントシステム)の分野における法規制対応を支援する為、プロセスやテクノロジーに対する取り組みを強化し続けています。
当社が発行した最新のIndustry Briefでは、ライフサイエンス業界の製品に求められる品質管理をより効率的に行う為、新技術に対する規制当局の取り組みについて、ご紹介しています。
当局が推進するモダナイゼーション
従来の文書管理の位置付けの一つは、不適合等の課題が発生し、その内容と結果を記録することでした。しかし、新たな規制のトレンドを踏まえると、この戦略は消滅しつつあります。FDA(米国食品医薬品局)やEU(欧州連合)等の規制当局では、規制対象となる企業に対して、文書管理に最新のテクノロジーやプロセスを採用するよう積極的な取り組みを行なっています。次にご紹介するのは、FDAがモダナイゼーション・プログラムの中に含めた内容です。
- Technology Modernization Action:最新のテクノロジーや科学の進歩に対応し、製品を監視する効果的な手法を導入する為のインフラ変革を目的としたプログラム
- eSTAR (Electronic Submission Template and Resource):510 (k)に対する医療機器メーカー側の準備及び申請内容に対するFDAのレビューの一貫性や効率性の向上を目的としたPDF形式での電子申請テンプレート
EUによるMDRに対する文書化要件の強化
3年間の準備期間、そして、新型コロナウイルスによる1年の延期を経て、EUは MDR(医療機器規制)を施行しました。医療機器メーカーは、更なる文書化要件が追加されることを想定していた通り、例えば、機器毎に文書化されたリスク管理計画がMDRの要件として求められています。
また、MDRに追加された文書として、安全性と臨床性能のサマリー(SSCP)があります。これは、EU圏にて製品を展開する上で求められる要件の維持を目的として、機器のライフサイクルを通じて提出が求められる年次報告書であり、次の内容を含める必要があります。
- 機器の安全性や性能に関する情報(臨床上の有効性や想定通りに機能する確率等)
- 埋め込み型機器として患者様が使用する上でのリスクや副作用に関係したした情報
- 機器に関する全ての臨床データから構成された臨床評価結果のサマリー
規制対象となる分野にて事業を展開する企業は、文書管理プロセスの自動化を通じて、文書に関わるミスや不備の削減に努めています。デロイト社の報告でも、製造プロセスに対する確認から、リスク評価や変更管理、逸脱管理など、対象範囲を拡大した文書管理の取り組みに移行していると発表しています。
しかし、文書管理とは、文書の作成または利用する全ての従業員の責任であり、各担当者も、文書管理の目的や自社の文書管理手順に準拠する方法を適切に理解する必要があります。
cGMPにおける文書管理
FDAのcGMPやISO規格では、規制対象となる製品を製造する全ての企業に対して、システムとしての文書管理の確立を求めています。最も基本的な内容としては、規制対象となる製品のライフサイクルを通じて、製品に関連する全ての文書の作成や配布、承認、変更管理等が求められています。
- FDAの文書管理に関するガイドライン:21 CFR Part 820.40では、文書管理に関する要件が記載されており、企業に対して、文書の変更や承認、配布に関する手順の策定を求めています。
- ISOの文書管理に関する規格:ISO 9001:2015では、文書の更新やアーカイブ、識別など、企業が運用すべき文書管理に対する要件の詳細が規定されています。また、同規格では、文書管理の複雑性に直接的に影響を与える要素として、リスクベースの手法を組み入れる上での概念が取り上げられています。製品を取り巻く不確実性のリスクが大きければ大きい程、文書管理に対する要求事項も厳しくなる為、リスクを軽減する為に企業が取るべき対応範囲も大きくなります。
文書は頻繁に改訂や承認のプロセスを経る為、紙運用を行なっている場合、ミスや紛失、旧版の管理などの問題が発生しやすい傾向にあります。また、多くの課題は、工程の後半まで気づかれないケースもあり、下記では、Form 483やWarning Letterにて指摘された文書管理に関する内容をご紹介しています。
- 日付や番号の不備など
- 管理されていない文書の利用
- 文書の変更に対する承認や理由、記録の不備
- 重要な文書に対するアクセスの欠如
- 文書の紛失
2020年に入ってすぐにソーシャルディスタンス等が求められるようになり、従来の勤務環境が崩れ始めました。文書管理は、特定の部門や責務に限定したものではない為、紙運用やハイブリッド(紙と電子の併用)による運用を行なっていた企業は、その運用方法の限界に気付き始めました。それらの課題を解決する上で、統合管理が可能な文書管理向けソリューションを導入することで、次のような利点があります。
- より連携・連動した共同作業
- 厳格な版数管理
- セキュアーなアーキテクチャー
- 統合プラットフォーム
実績豊富な電子化されたプロセスや自動化を組み合わせることで、文書の品質や効率性を重視した文化を確立することができます。また、より効果的な文書管理に対するベストプラクティスを導入する方法については、ホワイトペーパー「文書管理の自動化を通じてFDAやISOの要件に対応」をご覧ください。
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