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2021-05-26コラム

品質マネジメントシステムの手法としてデータ分析を追加

  • 業界紙のAI(人工知能)や高度な分析、データに関する記事を読んでいると、自分は何かを見落としているかもしれないと感じる時があります。一方で、まだ聞いたこともないテクノロジーや、導入したことがないテクノロジーとの出会いの機会でもあります。また、そのような記事に掲載されている利用事例の内容は自社では現実的ではない、または、不可能であると感じてしまう方もいると思います。

    しかし、そのような事例自体に焦点を当てるのではなく、一歩下がって、品質分野の管理職の方々が最も関心を寄せている点を見ていきましょう。本稿で全てに触れることはできませんが、管理職の方々にとって最大の課題の1つが品質イベント(苦情や逸脱等)とCAPA(是正措置・予防措置)です。この課題に対しては、データ分析が効果的であり、品質イベントの発見から根本原因の把握、CAPAの実施までを迅速に解決することが可能であり、より早く問題を認識することで、課題の発生を未然に防ぐことにもつながります。


    高度な分析を実践

    予測分析は、品質に革命をもたらすと考えられています。管理者の方々の日々の業務の大半は、課題に対するトラッキングや解決に費やされています。もし、問題の発生を予測することが可能で、未然に回避することができれば、品質課題に対してより積極的な対策に時間を使うことができます。高度な分析は、品質イベントの調査プロセスを変革するための鍵となると述べている専門家もおり、問題が発生した際に根本原因が見つかったことを知らせたり、提案された対処内容が問題を解決するのか、それともさらなる問題を引き起こすのかを提案してくれます。

    そして、これは机上の空論ではなく、実際に起こっていることであり、大手企業に限定された内容でもありません。マッキンゼー・アンド・カンパニー社のレポートでは、より良いプロセスとより高度な技術を組み合わせた「Smart Quality」と呼ばれる成果を発表しており、製薬会社や医療機器メーカーでは、逸脱や不適合に対する調査時間の90%短縮を実現しています。FDA(米国食品医薬品局)も、このようなAIを活用することによる優れた結果を認識しており、2020年に実施したAIによるスクリーニングのパイロットプログラムでは、公衆衛生に懸念がある製品が特定できる確率が3倍になったと発表しました。

    新型コロナウイルスの発生により、高度な分析手法を「ゆっくり、確実に導入する」という考え方は変わってきています。新型コロナウイルス発生以前、デジタルトランスフォーメーションやプロセスの見直しには何年もかかると感じていましたが、リモート勤務の推進など様々な要因により、躊躇していた多くの企業が電子化に取り組むことになりました。2020年は良い年とは言えない一年にはなった一方、従来であれば数ヶ月から数年かけて構築していた分析手法のような新しい業務を数週間で実現できることが証明されました。しかし、そのプロセスを急いだ方が良いと述べているのではなく、適切な分析を実践する前に必要となる基礎を固める必要があります。


    どこから始めるべきか

    テクノロジーの領域を検討する前に、実施すべき幾つかの準備作業があります。前述した「Smart Quality」には業務プロセスの改善も含まれており、世界で最も優れたテクノロジーをもってしても、業務プロセスに課題を抱えた状態では、適切に機能させることができません。例えば、もし自社の方針で、全ての品質イベントに対してCAPAを実施している場合、分析ソリューションはあまり役に立たないでしょう。その為、どこに焦点を当てるべきかを前もって決めておく必要があり、現在の調査方法で根本原因を突き止める事ができているか、複数のCAPAに分かれている場合でも最終的に同じ問題に結びついているか、また、お客様からの苦情の傾向を把握できる管理手法が存在しているかといった点を確認する必要があります。

    プロセスを前もって徹底的に検証することで、スムーズな導入が可能となり、より良い成果に繋がり、投資収益率も向上することができます。そして、適切に検証を実施するには、下記のことが必要です。

    • 戦略との整合性:高度な分析で実現したい内容は、自社の全体的な目標と結びつける必要があります。Deloitte社のレポートが「AIと分析は、企業全体に戦略的に展開したときに最も効果を発揮する」と述べている通り、周りがやっているから導入するのではなく、それが自社にどのように役立つのかを検討する必要があります。
    • 目標の策定:アイデアを推進するということは、実現したい目標を持つということです。高度な分析とは、目標を達成する為の手段であり、目標自体ではありません。何を改善したいのか、その改善をどのように評価するのか、そして、どの分析でそれを実現できるのかを決める必要があります。
    • データの整理:データは、分析を行う上での基礎となる要素であり、データが不完全な場合、AIや分析による取り組みが頓挫してしまうリスクがあります。分析を通じて得る結果は、分析を行ったデータやAIが学習に使用したデータの質がそのまま反映される為、データが正確でない場合、そこから導かれる結果も間違っている危険性があります。


    まとめ

    高度な分析は、ビジネスの様々な領域にて活用することができますが、品質分野における時間短縮の貢献は非常に大きいものがあります。特に品質イベントやCAPAに対する効果は絶大であり、そこにAIを加えることで、より優れた成果に導くことができます。2021年、高度な分析が品質分野に広がってきており、この傾向はさらに続いていくことが予想されています。

    本稿に関する詳細は、「2021年のアナリティクス分野のトレンド:流行から必須ツールに」をダウンロードしてご覧ください。


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