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2021-03-18コラム

ライフサイエンスの品質・製造におけるテクノロジーの急速な変革

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    弊社は25年以上にわたってライフサイエンス業界における品質製造向けソリューションを提供し、私自身も19年間関わってきました。ただ、その取り組みの背景にある「なぜ」を理解したのは2014年、そしてそれが、私たちのチーム全員にとって明確なものとなったのは2020年でした。

     

    「人々の暮らしや健康を変えていく製品を、より多くの人に早く届ける」

     

    これは弊社の企業理念で、様々な業種・製品に適用できます。過去にイベント等の講演で、「がん治療薬をより多くの人に早く届ける」という話をしたり、「チョコレートをより多くの人に」という話をした事を覚えている方がいるかもしれません。

    2020年、ワクチンや検査機器、個人用防護具(PPE)、人工呼吸器などの開発に、弊社のお客様が尽力されている状況を目の当たりにし、深く心に刻まれました。

    製造や品質、薬事等に関わる業務プロセスが非効果的で、製品に対する重要な変更の適応や出荷が遅延することは、その製品を必要とする人々が苦しむ状況に繋がってしまいます。ライフサイエンスの製品は価格が高額で、製造も容易ではなく、更には厳格な品質の基準や関連規制への準拠も必要です。そのような状況下において、大量生産に対するニーズやスピーディーな市場展開が求められるとなれば、課題はさらに大きくなります。

    新型コロナウイルスの発生は、世界中にヘルスケア製品の開発や製造の重要性を示しました。その両方を実現する上で鍵となったのが適応性です。2019年以前には想像もしなかった方法で、この世界的危機に柔軟に対応するお客様を見て、身の引き締まる思いがしました。

    ご紹介できる事例はたくさんありますが、今回は一部のみご紹介いたします。ヨーロッパのあるお客様は、感染した患者様の安全な移送を行う為のポッドを製造していました。2020年初旬、新型コロナウイルス感染者数が急速に増加した為、同社の製品に対する需要も2週間で約18倍に膨れ上がりました*1。しかし、工場閉鎖に直面しても、マスターコントロールのソリューションを使用してリモート勤務を行い、サプライヤーとの業務を継続したことで、製品仕様の維持や品質に関する課題への対応を継続することが出来ました。ポッドの需要は継続し、同年後半には、カナダから出荷することも出来るようになりました*2。

    別のお客様の製剤施設では、パンデミックの直前からデジタル トランスフォーメーションを開始し、15年前から運用していた旧システムからの移行に取り組んでいました。ステロイドの一種であるデキサメタゾンが新型コロナウイルスの重症患者に有効であると判明した際、その準備を既に行なっていた為、急激な需要増加にもタイムリーに対応することができました。そして、クラウドサービスのQMSで、品質に関わる業務プロセスを調整し、全世界で4つに分かれていた監査や認証業務を適切に推進しました。

    2020年、このようなお客様とお仕事ができたことは非常に光栄で、製造におけるデータ管理の革新を通じて貢献できたことを嬉しく思っています。

    私たちは、人々の暮らしや健康を変える製品の製造分野における急速な革新を目の当たりにしています。昨年のちょうど今頃、新型コロナウイルスに対するパンデミックが宣言されましたが、現在、有効なワクチンが既に市場に展開され、世界中に供給されています。

    私たちの生きている時代では、イノベーションやテクノロジーが飛躍的に進歩する時があり、その時が訪れると、それ以前の数十年では考えもしなかったことが、たった数年で実現されます。例えば、スマートフォンの誕生により、19世紀では考えもしなかった速さで、現代社会では写真を撮影することができます*3。また、数千年もの間、人々の命を救う為、臓器移植の実用化を望んできましたが、1954年に最初の事例*4が成功し、現在では15万件近い臓器移植が毎年、行われています*5。

    私たちの業界にも同様な変革が訪れようとしており、まだ始まったばかりではありますが、ここ数年で様々なテクノロジーが発展を遂げています。

    ライフサイエンス企業は、単一プラットフォームによる電子化や業務を推進することで、品質や製品のデータが持っている可能性を解放することができます。例えば、人工知能(AI)がデータ分析を行うことで、データのパターンや関係性を認識し、人間に伝えることが可能です。これにより、従来より大幅に強化された洞察力を人は得ることができます。最終的には、機械学習や人工知能を搭載した他の製品と組み合わせることで、品質に関わる様々な課題の予測及び予防を実現し、法令違反や品質の課題やコストの削減に繋がるでしょう。

    このような重要な進歩により、製造や品質、法令違反等の課題を引き起こさない未来に向けて、前進することができます。そして、病気や障害などの軽減や防止等に使用できる製品を、より早く手頃な価格で、人々が使用できるようになるでしょう。マスターコントロールは、イノベーションとスピードを支援する製品を提供するこで、このような世界が実現できると考えています。人々の暮らしや健康を変える製品に向けた技術が急速に進歩している今、お客様と一緒に変革していくことができるのを光栄に思います。

     

    参照

    1. Fast track needed for safe COVID-19 patient transport, AirMed&Rescue, November 2, 2020.
    2. Canada launches EpiShuttles in the fight against Covid-19, AirMed&Rescue, November 12, 2020.
    3. In 2014 we took 1tn photos: welcome to our new visual culture, Nicholas Mirzoeff, The Guardian, July 10, 2015.
    4. Historical Overview of Transplantation, Clyde F. Barker and James F. Marmann, Cold Spring Harbor Perspectives in Medicine, Retrieved in February 2021.
    5. International Report on Organ Donation and Transplantation Activities Executive Summary 2018, Global Observatory on Donation and Transplantation, Retrieved in February 2021.
     

    著者のご紹介
    Jon Beckstrand

    ユタ大学にて会計学の学士号、ブリガムヤング大学大学院にて法務博士を取得後、中堅の金融サービスに特化したソフトウェアプロバイダーにて役員を歴任後、KPMG社のシリコンバレーやシカゴに在籍し、ソフトウェアや他のIT企業に企業戦略やM&Aに関するアドバイスを提供してきました。2002年より、マスターコントロールの方向性やビジョンに責任を持つ最高経営責任者を務めています。マスターコントロールは力強い成長を遂げ、数々の新製品をリリース、イノベーションを推進し、品質マネジメントシステムを管理するソリューションを法規制対象となっている業界向けに提供し、リーディングプロバイダーとしての地位を確立しています。また、同氏は弁護士及び米国公認会計士の資格も有しています。

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