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マスターコントロールからのお知らせです。

2021-04-14コラム

シンプルな設定をベストプラクティスで実現

  • 「シンプルにすることが、時として、複雑にすることよりも難しい時があります。シンプルにするということは、懸命に努力し、考えを明確にする必要があるからです。ただし、それを達成することができれば、山でも動かすことができる価値があります。」

    Steve Jobs

     

    マスターコントロールでは、お客様が高いレベルの生産性を維持する為、システムの使用方法がシンプルで直感的であることを目指しています。北米にて開催されたVirtual Masters Summit 2020にて、Senior Implementation ManagerのBranon Minorが、「Why Less Is More With Configuration(設定を少なくすることで多くを得る)」と題しまして、設定をシンプルにすることのベストプラクティスと利点について講演しました。

    Minorはまず、複雑な設定がマスターコントロールの運用における混乱の原因になっており、下記の設定内容をその事例として紹介しました。
     

    • ライフサイクルや保管庫を増やすことで、役割の数も増加:ライフサイクルと保管庫は、パブリッシングと役割の為に作成します。その為、より多くのライフサイクルや保管庫を作成することは、役割の数を増やすことに繋がってしまいます。
    • 権限やアクセスに対する問題の対処:エンドユーザーがデータを見れないといった課題は、システム管理者の方々が対処すると思いますが、このような課題は、複雑な設定によって生じてしまっているケースが多いです。
    • 手間のかかるワークフローが業務をスローダウン:文書に対する承認のワークフローが複雑に設定されていると、その業務を処理するスピードにも影響を与えます。
    • パフォーマンス(操作性など):複雑な設定は、文書を探す際の検索など、エンドユーザーの操作も複雑になります。また、文書一覧として表示される文書の量にも影響します。
    • 情報の検索や取得における慢性的な混乱(課題):文書の検索からレポート作成まで、設定が複雑になればなるほど、ユーザーもその内容を把握する必要があります。また、適切な権限が付与されていない場合、そのデータを見れないといった課題も発生します。


    設定のベストプラクティス

    ベストプラクティスとは、正しい、または最も効果的であると規定された手法を示しています。

    「当社では、過去に経験した共通の問題を避ける為、お客様にベスト・プラクティスを活用することを推奨しています。そして、ベストプラクティスは、私たちが発見したことや業界の変化に応じて、常に進化しています。」


    ライフサイクルと保管庫

    シンプルと拡張性

    これまでの方法では、サイトや部署、文書の種類毎にライフサイクルや保管庫を分けていました。これは、データのサイロ化(分断化)を引き起こす可能性があり、設定管理やメンテナンス作業の増加を引き起こす要因となっています。一方で、セキュリティーや監視にも繋がりますが、ライフサイクルや保管庫の増加は混乱の要因にもなります。

    プロセスをシンプルにすることで、自社内における複数部門間での共有や共同作業が簡単になります。また、管理体制や責任の明確化にも繋がり、例えば、作成者や管理者、カスタムフィールドを使用することで、ライフサイクルや保管庫に依存せず、必要となるメタデータ(基本情報)を取得することができます。

    また、タイトルや版数に対して、複雑な命名ルールを作らないことも推奨しています。タイトル等にそのような情報を入れ込まず、メタデータを使用することで、検索も容易となり、ユーザーは必要な文書を簡単に見つけることができます。

    以下のスクリーンショットは、設定が複雑になってしまっているケースの一例です。ここでは、JFという名前が場所を意味し、その後に部門名を付ける形がライフサイクルや保管庫に使われています。もし、各部門に固有な場所が存在し、PDF変換の内容も各部門から希望がある場合、このリストはさらに長くなってしまいます。また、この内容の数だけ権限も維持しなくてはいけない為、メンテナンス作業も膨大になってきます。

    次のスクリーンショットは、よりシンプルな設定を行なっている場合の一例です。この例では、各拠点に対してライフサイエンスと保管庫を作成し、全ての文書がその中に保存されています。この場合、全てが統合管理されている為、役割の作成や部門間等の共同作業も簡単になります。

    インフォカードタイプとサブタイプ:シンプルに判別可能

    ライフサイクルや保管庫の設定が複雑だと、インフォカードタイプやサブタイプの設定も複雑になります。従来は、インフォカードタイプは文書の種類(SOP、作業指示書など)、サブタイプは拠点や部署の定義に使用されてきました。

    設定をシンプルにすることで、検索対象となるデータ量が少なくなりますので、ユーザーはより簡単に必要な情報を見つけ出すことができます。しかし、詳細な情報を追加する必要がある場合、カスタムフィールドを使用するという選択肢があり、基本の設定を操作することなく、対象データの変更等が可能です。また、リンクやスマートリンクを使用すると、文書に限らず、教育やBOM(部品構成表)、サプライヤーなど、他の全てのインフォカードを紐付け、対象データへのアクセスに活用することができます。これにより、カテゴリーオーガナイザーをより簡単に利用することも可能となり、ユーザーはストレスなくデータを検索することができるようになり、新規で文書を作成する際にも、既存の文書との重複をより簡単に確認することができます。

     



    「メタデータでインデックスは作成したいですが、その管理はやりたくないですよね。」


    発番管理:管理よりインデックス化

    インフォカードのメタデータとは、図書館の貸し借り管理の仕組みとして、本の基本情報が印刷されていたカードと似ています。これは、デューイ十進分類法と呼ばれ、図書館では、本の場所や著者・所有者、出版社などが記載されており、マスターコントロールでは、対象となるデータの基本情報がインフォカードには含まれています。


    下記は、文書に対する従来の発番方法の一例です。

    • SLC-QA-SOP-00001
    • SLC-SOP-00001


    この方法では、拠点や部門、文書の種類、そして、文書を識別する番号が含まれていますが、その番号の発番や管理により多くのメンテナンスが必要となります。

    次にご紹介するのは、より最新でシンプルな方法で発番を行った場合の一例です。

    • DOC-00001
    • SOP-00001


    この発番方法では、情報の多くはメタデータに含まれている為、番号自体の管理が容易です。文書の種類を含める必要がある場合、その情報は残し、後続の番号はシステムに自動生成(例:SOP-0000x)させ、その番号を用いてシステムはインデックス化を行います。

    「文書として必要な情報は、カスタムフィールドやインフォカードタイプ、サブタイプを活用することができます。」


    役割:少ない方が良い

    ライフサイクルや保管庫と同様、より多くの役割を作成すると、その数だけライフサイクルや保管庫に対する設定が必要となります。また、役割の複雑化は、作成や改訂、コラボレーション、承認プロセスもより複雑にします。全てのユーザーに対して適切な役割を付与する必要もあり、これは非常に時間のかかる作業です。さらに、データに対するアクセスの問題の対処や、承認フローが正しい担当者に行かない場合のステップ修正など、システム管理者にとってもストレスな運用が発生します。

    プロセスをシンプルにし、役割を減らすことは、ユーザーが必要となるデータに常にアクセス可能な運用の安定化をサポートします。このようにシンプルなワークフローで品質に関わるプロセスを管理する場合、3-4個の役割が多くのケースで作成されています。

    • Viewer:特定の保管庫に存在しているリリースされた文書の閲覧が可能です。
    • Creator/Reviser:新規文書の作成や既存の文書に対する改訂が可能です。
    • All Company:システムに散財する全ての権限の基本となる役割で、ポータルやリリース済の文書に対する閲覧、教育、コラボレーションなどが含まれ、社員全員に対する標準的な権限として使用することができます。また、複数部門でのコラボレーションも可能となり、必要に応じて、改訂作業に参加してもらうことができます(招待形式のみ)。


    ワークフロー:シンプルにすることで時間を節約

    企業では、部門毎のワークフローなど、通常は複数のワークフローにて運用を行なっています。繰り返しにはなりますが、ワークフローも膨大な数を運用することは課題となりますが、ワークフローの場合は、固定的なワークフローではなく、ダイナミックに構成することで、文書に依存しない運用を構築することができます。

    ワークフローにおける課題の一つが、職務の変更や人事異動といった変更への対応です。数が多く複雑なワークフローを構成すると、承認フローを起動する際に混乱が発生したり、部門毎に複数のワークフローを作成している場合では、変更が発生した際の調整作業も必要となります。

    ワークフローに対するシンプルな方法とは、より柔軟性のあるワークフローの構築であり、これにより、ワークフロー自体を直接編集することなく、ユーザーの追加が可能となります。そこで、変更申請のステップを活用することを推奨しており、これにより、時間の短縮と、より確実に手順を順守することができます。

    下記では、ワークフローの構築時に重要となる幾つかの要素をご紹介いたします。

    • 変更申請:全てのタスクを適切に処理する上で重要です。変更提案や変更理由を有効にすることで、文書管理者やスーパーバイザーが変更に対する承認を行うことができます。
    • コラボレーション:作成者や管理者、改訂等を行うユーザーが文書に対する変更作業や権限を管理することができます。
    • 承認:承認者の指定や通知の設定を行います。
    • 発効日の設定:文書を特定の日付にリリースすることができます。


    下記のスクリーンショットでは、ベストプラクティスのワークフローをご紹介しています。内容によっては変更する必要もありますが、全体的にはかなりシンプルな構成となっています。

    変更申請のステップから開始し、変更内容の入力が終わり承認されると、コラボレーションのステップに進み、オリジネーターは、編集を行う他のユーザーを招待できるようになります。そして、このステップが完了すると、文書のレビューに進みます。

    このステップもコラボレーションを使用しており、文書の管理者等は必要に応じて、文書に対する改訂を行うことができます。これにより、オリジネーター等を招待して文書に対する変更等をこのステップ内で行うことができますので、このステップを却下して前のステップに戻り編集を行う手間が無くなりますので、時間の削減に繋がります。

    次は文書に対する承認で、このステップが完了後は、QA(品質保証)による承認か、発効日の設定に直接進むことができます。要件次第で通知のステップを追加することもありますが、以上の構成がベストプラクティスとかんがえているワークフローの主要なステップになります。


    設定をシンプルにする戦略の利点

    • 拡張性

    最も大きな利点は、設定やカスタムフィールド、そして、カスタムフィールドに対する入力の効率性と、関連設定の容易性にあります。

    「このようなメタデータを登録していない場合、設定側からでも、後からデータを追加することは簡単ではありません。」

    • 新しいサイトを追加する容易性

    ライフサイクルや保管庫が異なる為、既存のデータとの依存関係に影響を受けず、インフォカードタイプの追加や削除が可能となります。

    • よりスピーディーな導入とバリデーション工数の削減

    設定をシンプルにすることで、バリデーションも少なくなり、より簡単にシステムを拡張することができます。
     

    「バリデーションは通常、リスクベース手法に基づいて高リスクな分野に対して検証を行う為、設定をシンプルにすることで、バリデーションも簡単になります。また、システム管理者は、ユーザーに適切な役割や権限が付与されているか、インフォカードタイプやサブタイプが正しく設定されているか、パケットやワークフローが滞っている問題等の対応をする必要もなくなります。その結果、システム管理者は、システムの管理ばかりを行うのではなく、プロセスの改善やより良い操作性に重点を置くことが可能となります。」

    設定のベストプラクティスは、様々なモジュールやケースに適用することができますが、この内容はあくまでガイドであり、適用できないケースもある為、強制するものではありません。しかし、全体としては、よりオープンでシンプルな設定に導くことができます。


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