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2021-02-26コラム

ライフサイエンス業界におけるデータに基づいた品質戦略の利点

  • FDA(米国食品医薬品局)のActing CommissionerであるJanet Woodcock氏は、医薬品製造における品質の重要性について、過去、様々な場で述べてきました。供給不足が高確率で発生している状況を踏まえ、品質はFDAのcGMP要件だけの問題ではなくなってきている為です。製造における品質とは、需要に対して供給が安定し、十分な供給量を安定した品質で提供できることを示しています。
     
    「医薬品の供給不足に関する直近の分析では、品質に対して、より多くの投資及び還元が必要であると示しています。FDAの経済学者で構成されたチームは、2013年から2017年に供給不足が発生した163製品に対する調査を行いました。そして、その163製品の62パーセントは、製造または製品品質に起因した問題から供給停止及び不足に繋がっていました。」*1
     
    品質におけるデータの中心的な役割
     
    ライフサイエンス企業は、製品の開発及び製造を通じて、長年、膨大な量のデータ生成してきました。品質は、そのデータに依存している領域の一つで、他部門と比較しても、より多くのデータの作成及び利用を行なってきています。
     
    データ管理がガイドラインに従い、必要な文書が整備されていれば、企業は法令遵守を実現することができます。しかし、紙文書の作成や保管を通じて品質に関わる業務プロセスを行なっている場合、必要以上の時間と労力が必要となり、結果として、品質に関わる課題への対処も予防的ではなく、事後対応になりがちです。また、品質関連業務の責任者は、多くの時間を文書の確認や、記録を完全で正確な物にする為、関係者と多くの時間を確認等に費やしています。このようなアプローチには、次のような課題があります。
     
    データが様々な形態で収集され、色々な場所に保管されている為、そのデータを必要とする関係者との共有が難しい
    重要なデータを必要とする関係者にタイムリーに展開されていない
    データが不完全またはエラーが含まれている可能性があり、その後の報告書や申請に重要な課題を引き起こす可能性がある
    製品や手順の逸脱を効果的に調査する上で十分なデータが揃っていない
     
    十分な品質の製品を製造するにはデータの品質が必要不可欠
     
    品質に対する目的や対応は、顧客のニーズに基づいている必要があります。通常は、このニーズに基づき、その内容を捉えた特徴や特性を持つ製品仕様が策定されます。しかし、長期間にわたる製品のライフサイクル全体を通じて、どのように品質を維持できるのでしょうか?
     
    最新のテクノロジーは、より多くのデータを扱い、特定の領域にフォーカスしているという特徴があります。そして、次のようなテクノロジーを品質に組み入れることによって、戦略的な優位性を得ることに繋がります。
     
    • IoT(Internet of Things):ウェブに対応したデバイスを通じて、データの収集から送信、データに基づいたアクションを高い正確性を持って実行できます。
    • ビッグデータ:様々な形式の膨大なデータを短時間でリアルタイム収集し、処理を可能にします。
    • 予測分析:新規または既存データを用いて、活動や行動、傾向を予測し、様々な判断を推進する上での情報提供を可能にします。
    ガートナー社が実施した調査によると、このような技術を導入したライフサイエンス企業では、より多くのデータを収集することが可能となり、成果に繋がっているという結果も出ています。例えば、予測分析を採用することで、傾向を適切に把握したり、未知または見落としていたリスクが認識できることで、製品の回収等が発生する前の対処に繋がっています。*2
     
    品質は一つの部門の責任ではなく、複数部門の協力により成立するものである為、データに基づいた品質戦略を採用することは、品質に関わる様々な業務プロセスをより全社的な取り組みとして、推進することができます。このような品質に対する戦略は、生産能力の増加や業務負荷の低減、継続的改善の強化といったビジネス上の戦略としても重要です。下記では、その他の利点についてご紹介しています。
     
    • 品質と製造がより密接になり、透明性を強化
    • 課題対応の工数が削減され、生産性に繋がる業務にフォーカス
    • 初回から適切に処理できる割合が増加、全体の実績も向上
    アクセンチュア社のライフサイエンス部門が実施した調査からは、自社の全てのデータを活用することが企業の優位性に繋がっていることを業界全体が認識しており、ライフサイエンス業界は変革の時期に来ていることを認識することができます。また、このデータに基づいた環境でリーダーになるには、データの作成や管理、利用を根本的に変革する必要も出てきています。*3
     
    データに基づき、プラットフォームが構築された品質戦略を実現できている企業では、リアルタイムで予測分析を行い、品質のインテリジェンスを高いレベルで維持することができます。そして、全社的なプラットフォームでデータの収集及び共有を実現することは、組織全体の強化に繋がり、製品品質の強化を実現することができます。
     
    参照
     
    1. “To Help Reduce Drug Shortages, We Need Manufacturers to Sell Quality — Not Just Medicine,” Janet Woodcock, FDA Voices, U.S. Food and Drug Administration (FDA), https://www.fda.gov/news-events/fda-voices/help-reduce-drug-shortages-we-need-manufacturers-sell-quality-not-just-medicine
    2. “Predicts 2020: Life Science CIOs Must Digitalize for Business Growth,” Andrew Stevens , Jeff Smith , Michael Shanler , Animesh Gandhi, Gartner Research, Dec. 23, 2019, https://www.gartner.com/en/documents/3978690/predicts-2020-life-science-cios-must-digitalize-for-busi
    3. “Digital Transformation in the Lab: Bridging Analog Islands in a Digital Ocean,” Survey Report, Accenture Life Sciences. https://www.accenture.com/_acnmedia/PDF-115/Accenture-Digital-Lab-Transformation.pdf#zoom=50
       

    著者のご紹介
    David Jensen

    Westminister CollegeにてProfessional Communication、Weber State UniversityにてCommunicationの学位を取得後、Medical Product OutsourcingやBio Utahなどの媒体における執筆者として、長年従事し、現在はマスターコントロールのContent Marketing Specialistとして、Webサイトやホワイトペーパー、ブログ等に掲載される記事の執筆を担当しています。

    本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。


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